壁の雨仕舞―建築は雨仕舞に始まり雨仕舞に終わる。
- kobarin25
- 2022年3月15日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年3月17日
雨仕舞は奥が深い
魚釣りの愛好家の格言「釣りはフナ釣りで始まりフナ釣り終わる。」という話は大変有名です。
フナ釣りは子供の頃より手軽に始められる身近な釣りですが、実は、竿の選び方から始まり、仕掛け、餌、合わせの仕方など様々な要素が有り、実は奥深いので奥義を極めるには相当の時間と労力が必要であるという解釈だと思いっています。
建築工事においても、雨仕舞はごくごく身近な問題でどんな建物にも発生しがちな問題です。私は大学を卒業して直ぐに埼玉県のある建設会社が請負った消防署出張所の現場担当者として、壁、屋根、窓の防水工事を任せられて、上司に散々怒られながら、材料、施工方法、水の特性等熟知していないとうまく収まらない事を痛感した思い出が有ります。今でも防水関連の工事現場に行くと、その時に学んだ事が甦って来て、しっかりと現場確認をして施工しなければと気を引き締めますが、現場状況により、解決方法は千差万別で、その奥深さはまさに釣りの奥義を極めるのとよく似ていると思います。
コンクリート、レンガ壁
前置きが長くなりましたが、今回取り上げるのは雨仕舞の基本の一つ、劣化したコンクリートやレンガ積壁の雨仕舞のお話です。
コンクリートやレンガで壁を作ると、完成後早い場合には一か月以内、
遅くとも半年位後にはヘヤ―クラックと言って、目に見えないくらいの亀裂が入り、雨水が徐々に浸み込みます。そのまま放置すると、コンクリートの成分が変質したり、鉄筋に錆が入り、壁の強度に影響を及ぼします。ですので、外壁の塗装は出来れば2、3年に一回の割合で塗装をするのが理想的でした。しかしながら2年や3年ぐらいで外壁塗装を繰り返す事は建物維持管理上大変な負担になります。ですから建物所有者としては少しでも修理までの期間を伸ばしたいというのが本音でしょう。
日本では私が30歳の頃には壁材料、塗装の種類等様々な開発されており、色々な材料を使って様々な工法で施工をされて来ましたが、ベトナムの工場ではコンクリートやレンガ構造の壁だけでなく、メタルシート(塗装鉄板)貼の工場も増えて居りますが、やはりレンガ積の上にモルタル塗り+ペンキ塗り仕上がやはり多くを占めております。
一般的なベトナムのコンクリート、レンガ壁塗装法
一般的なベトナムのコンクリートやレンガの補修方法は下地処理をしっかりとしないで内壁、外壁の区別がない塗料を1,2回塗るだけです。このやり方だと半年以内に色落ちは免れません。結局元の状態を保つには、毎年のように塗装を繰り返す事になり、大変無駄な経費が掛かってしまいます。まして建物が10年以上経っている場合、亀裂、モルタル剥離及び脱落等が発生しており、表面処理だけでは焼け石に水といっていいでしょう。
弾性塗料を使った外壁補修塗装方法
ベトナムではまだ一般的になっていない塗装材料というのが有ります。私が日本で40年以上前に担当した個人住宅にも使われていた材料ですが、塗料に伸縮対応材を混ぜ壁クラックが発生しても塗料が伸び表面のヒビを抑える事が出来る材料です。データ上では300~600%位伸びる事になっていて、一般的な塗料より3~5倍、クラックが発生し難い優れた材料です。
今私たちの会社で採用している工法はこの材料を使った総合的壁補修方法です。工事は第一段階はクラック(亀裂)カット又は剥離部分の撤去、第二段階はクラックカット部分シール充填又は撤去部分樹脂モルタル塗り、第三段階は塗装部分表面クリーニング、第四段階は表面塗装工事(プライマー塗、弾性塗料下塗り、上塗り)です。この方法で外壁補修を行った場合は5~7年ぐらいは表面塗装を行わなくても問題有りません。

事例紹介
2019年に建設後15年経ったR社工場、2021年にはK社の第一工場15年、第二工場8年、食道棟7年それぞれ工場全体の総合的補修工事を行いました。それぞれの会社の施工方法と工事開始から完成までの工事写真紹介致しますのご参考下さい。
R社壁補修工事報告書
BÁO CÁO CÔNG VIỆC HOÀN THÀNH / REPORT ON COMPLETED WORKS
R社壁改修工事報告書
DỰ ÁN/ PROJECT: Công việc sửa chữa tường tại nhà máy R社 / Additional work for wall of factory at R社 project
Date 07month 08year 2019
I. 仮囲い仮設工事Công tác chuẩn bị/Temporary works
II. 本工事Công tác thi công/ Building works










































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